先のブログ(国直轄事業負担金に庁舎の整備費も、県47億円余りの支払を留保)でも触れたように、「国の直轄事業負担金に関わる国と地方の意見交換会」が、4月8日開催されました。大阪府の橋下知事のパフォーマンスがマスコミでは大きく報道されていました。茨城県の橋本昌知事は、以前から直轄事業負担金の見直しには意欲的で、様々な発言を全国知事会でも行ってきましたが、意見交換会では、大要以下のような発言をしました。
国は、こうした地方の意見に対して、今後、直轄事業負担金について、情報開示に取り組むとともに、国・地方でさらに協議を進めていくことを約しました。
○橋本知事の主な発言
- 経済対策を行う意味を考えると、地方財政が厳しいからといって補助事業から直轄事業にシフトさせても、地元企業の受注が限られ、地域の景気回復にはつながらない。地域の景気浮揚効果のない直轄事業でなく補助事業に地方が対応できる仕組みとすべき。
- 茨城県の場合、直轄事業負担金が国庫補助金を約50億円上回り、10年で500億円にもなる規模。事業直轄負担金も補助金も止めてもらった方がよいくらいな現状である。
- 庁舎が負担金に含まれているとは全く知らなかったが、直轄事業では、工事に直接必要な現場事務所等として負担金の対象としながら、補助事業では、土木事務所の庁舎を対象から除いており、一方で、その土木事務所に勤務する県職員の人件費は補助事業の対象となっているように、国に都合の良いバランスのとれない解釈となっている。その結果、事務費の比率などは 県が3.7パーセントのところ、国は2倍の7.5パーセントとなり、同程度になるだけで約25億円異なってくる。
- 国営土地改良事業の県負担金は、後年度支払う仕組みとなっており、その際の金利相当分が、事業実施時の財投資金の金利となっているため5~6パーセントと現在の金利と比べ極めて高いが、繰り上げ償還が認められない点は改善すべき。
- 国営土地改良事業の地元負担金は、全体の整備が終了するまで、県が一次負担者として、地元農家の負担分もあわせて負担しており、不合理な制度となっている。
○金子国土交通大臣の発言
- 直轄事業に関する情報開示は早々に行っていきたい。
- 工程表についても、どう議論を進めるかフォローアップする場を考えていきたい。
- 直轄事業負担金の問題を新たな三位一体の改革として取り組みたい。
○石破農林水産大臣の発言
- 直轄事業全体でなく、事業毎に根拠法、手法が違うので、1つ1つ精査していくことが必要。
- 橋本知事の意見はその通りだが、財投の仕組み、土地改良法の改正など仕組みの議論が必要。
○鳩山総務大臣の発言
- 直轄事業負担金の問題は、国と地方の役割分担を考えるのに、いいきっかけになる。
- 県単事業は激減しているのに、直轄事業は横ばいで、地方の自主事業がますます減ってしまう。
- これを機会に根本的な見直しが必要で、当然、今後の税財源の見直しにもつながってくる。