9月8日、公明党は党本部で臨時全国代表者会議を開催し、新代表に山口那津男参議院議員を、幹事長に井上義久衆議院議員を選出しました。
また、太田昭宏前代表は、新設の全国代表者会議議長に、北側一雄前幹事長は副代表に就任しました。
この日の臨時全国代表者会議には、茨城県本部の幹事長である井手よしひろ県議も出席。党再生に向けて新執行部と新たな決意で再出発することを誓い合いました。
会議では、太田前代表が党代表職の辞任を表明したことを受けて開催されました。公明党党規約20条の4、27条の3に基づき、北側前幹事長が党中央幹事会として、山口氏を後任の代表候補に推薦決定したと報告、これに対して出席代表者の挙手総員による信任で、山口新代表を選出しました。
就任あいさつで山口新代表は、衆院選の敗因に触れ、「政権交代の“うねり”の中で、連立10年で与党として多くの実績を積んだものの、党の独自性や公明党らしさを十分に発揮できなかったことについて、しっかり総括し、スタートを切る」との考えを表明しました。
また、公明党が衆院選比例区で得た805万票は「2大政党制では吸収されない多様なニーズを受け止める『受け皿』として、公明党に信頼と期待を寄せてくださった結果にほかならない」と強調。全議員が党員・支持者の熱い思いを胸に刻み、「『もう一度、公明党を応援しよう』と言っていただける『新しい党』『勝ち抜ける党』をつくりたい。それが私の最大の責務だ」と決意を述べました。
党再建への取り組みについて山口代表は、公明党の誇るべき「財産」として(1)「大衆とともに」との立党の原点(2)3000人の議員のネットワーク(3)福祉、平和、教育、環境、人権、中小企業対策など公明党ならではの実績、政策と、与党として国政を担った得がたい経験――を力説。「国会議員が徹して現場に入り、動き語り、党への理解を広げることからスタートさせる」と強調し、「『弱者を守る福祉の党』『平和の党』など公明党らしい旗を鮮明にし、政策に磨きをかけていく」と訴えました。
民主党を中心とする政府・与党の政権運営に対しては「庶民の目線で、また中小企業の視点から厳しく見極め、対応していく」と強調。今後の国会対応は「野党の立場から国民生活のため、日本の将来のためを政策判断の軸として、言うべきことは言い、批判すべきことは批判する姿勢で臨む」ことを明らかにしました。
最後に来年夏の参院選勝利へ向け「どんな困難な状況に直面しようとも断じて勝ち抜いていける強靱な党の構築を急ぐ」と力説。「どこまでも公明党らしく全議員が団結し、心を一つにして戦っていこう」と力強く呼び掛けました。
会議の冒頭挨拶に立った太田前代表は、「選挙結果に対する責任は、ひとえに党代表である私にある」と辞任理由に言及。さらに「温かいご支援に、心から感謝と御礼を申し上げる。新代表の下、皆さんとともに、一歩も引くことなく、全身全霊をかけて戦うことを誓う」と述べました。
この全国代表者会議の決定を受けて、茨城県本部では9月11日に幹事会と議員総会を開催し、新たなスタートを期することになりました。
9月8日の公明党臨時全国代表者会議で選出された山口那津男新代表のあいさつ(要旨)を、公明新聞(2009/9/9付け)より転載します。

太田前代表、北側前幹事長には、3年にわたり党のかじ取り役を担っていただきました。選挙結果を党全体が真摯に受け止め、党再建に総力を挙げるために、前代表、前幹事長には引き続きお力添えをいただきたいと思います。どうぞ、よろしくお願い致します。
代表就任にあたり、一言、ごあいさつを申し上げます。
【衆院選の総括】
まずは、衆院選の総括です。党としての最終的な総括は、自公連立政権10年間の総括を含めて、新執行部を中心に今月中にもしっかりと取りまとめを行ってまいりたいと考えております。
それを前提にわが党の敗因を概括的に申し上げれば、「政権交代」という大きな“うねり”の中で、連立政権10年で与党として多くの実績を積んだものの、党の独自性や公明党らしさを十分に発揮できなかったことについて、しっかり総括し、新しいスタートを切らなければならないと思っております。
党員・支持者の皆さまが、寝食を忘れ昼夜をわかたず、血のにじむようなご支援をくださったにもかかわらず、勝利に結び付けられなかった。率直に言って、党の力量不足を痛感せざるを得ず、党員・支持者、一票を公明党に寄せてくださった有権者の皆さまに改めて深くお詫び申し上げます。
再出発に当たり、公明党の全議員が心に刻みつけなければならないのは、党員・支持者の皆さまの党に対する熱い「思い」であります。選挙後、こうした厳しい結果にもかかわらず、「悔しさをバネに頑張れ」「捲土重来を期せ」と数々の温かい激励をいただきました。そうした皆さまに対して、「見ていてください。公明党は必ず生まれ変わります!」とお約束をし、「よし、もう一度、公明党を応援しよう」と言っていただける「新しい党」「勝ち抜ける党」をつくってまいりたい。それが私の最大の責務だと考えています。
【党の再建に向けて】
大逆風の中で、公明党は比例区で805万票を超すご支援をいただいたのは、まさに党員・支持者、有権者のご支援の賜物であり、2大政党制では吸収されない多様なニーズを受け止める「受け皿」として、国民の皆さまが公明党に信頼と期待を寄せてくださった結果にほかなりません。800万票に込められた公明党への熱いご期待にお応えする「新しい公明党」の建設に総力を挙げようではありませんか。
党再建にあたって私は、公明党には他党にはない、誇るべきいくつもの「財産」があることを確認することから出発したいと思います。
それは、第一に「大衆とともに」との揺るぎない立党の原点を持ち、第二に、3000人の議員が比類なき団結力で連携するネットワーク政党であることです。
立党の原点を堅持する限り、党再建は必ずできる、と私は確信しております。議員のネットワークは庶民の声を党の主張に反映していく公明党の財産であります。
これを生かすため、私がまず率先して「現場を歩く代表」「対話に動く党首」となって、党内外の第一線の皆さまとのひざ詰めの対話を行ってまいります。国会議員が徹して第一線に入っていく。現場に入って、動きに動き、語りに語り、公明党への理解を広げることからスタートさせてまいります。
三つ目は、福祉、平和、教育、環境、人権に加え、中小企業対策などで公明党ならではの実績、政策を持っていることであり、また与党として国政を担った得がたい経験があるという点です。10年間、政権を担ったことで、わが党は国に責任を持つ自覚を深め、政策立案や遂行の面で鍛えられたことは間違いありません。
転換期にある日本政治の中で、「弱者を守る福祉の党」「平和の党」など公明党らしい旗を鮮明にし、政策に磨きをかけていく。そして、「公明党がいれば日本の将来は安心だ」と国民の皆さまから支持される党へと脱皮、成長していくことに全力を挙げてまいりたい。
以上申し上げました特長を持つわが党が、独自性を発揮しながら全党一丸となって立ち上がれば、必ず再建はできると私は確信しております。まず私が先頭に立ち疾駆してまいりますので、どうか皆さまのお力添えを賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
【民主党政権への国会対応】
さて、来週16日に特別国会が召集され、民主党中心の政権が始まりますが、公明党は政府に対して、国会論戦を通じて政策論議を深め、「生活を守り抜く」「清潔政治の実現」といった公明党が掲げた政策の実現をめざしてまいります。
今後、公明党は野党の立場から、「国民生活のため」「日本の将来のため」を政策判断の軸として、言うべきことは言い、批判すべきことは批判する姿勢で臨んでまいりますが、まず、当面の政権移行に伴って、少なくとも国民生活に無用な混乱をきたさないよう、政府・与党の賢明な判断を望みたいと思います。
政権が交代しても、現下の最大の課題が、100年に一度といわれる経済危機をどう乗り越えるかであることに変わりはありません。
昨年来、私たちは130兆円におよぶ4度の予算編成で景気・経済対策を打ち、6月には景気の底打ち宣言、4月―6月の経済指標もプラス成長になるところまでもってきました。しかし、7月の完全失業率が過去最悪の5・7%となるなど、景気の本格的な回復に向けて正念場は続いています。
報道によると、民主党政権は補正予算を凍結して、マニフェストの政策の財源に充てるといわれ、その凍結の対象には、解雇された人たちの職業訓練や生活支援なども含まれているようです。景気が回復しても失業率の回復は遅れるのが通例であり、この秋から冬にかけて6%を超える可能性も強まっています。政府には雇用・失業対策、そして景気回復の芽を絶対につぶしてはならないと強く申し上げておきます。
私たちは政府・与党の政権・政策運営に対して、庶民の目線で、また中小企業の視点から厳しく見極め、対応してまいりたいと思います。
【来夏の参院選勝利へ】
本日の全国代表者会議は、来夏の参院選に向けての出陣の会合でもあります。参院選まで10カ月。いま最も大事なことは、「必ず次は勝つ!」「断じて勝つ!」との執念で、党の主体性発揮、3000人の議員のネットワークを生かした政策力アップなど党の活動全般にわたる課題を点検し、どんな困難な状況に直面しようとも断じて勝ち抜いていける強靱な党の構築を急ぐことであります。
党再建なくして参院選の勝利はあり得ません。また参院選に勝利してこそ、再建がなったと言えるのであります。「党再建、即、参院選勝利」を合言葉に、怒濤の前進を開始していこうではありませんか。
かつて経験したことのない大逆風の中、公明党は比例区で805万票を超すご支援をいただきました。今回の衆院選で初めて公明党を応援した、初めて公明党に投票したという有権者の方も数多くおられます。私は、そうした方々に心から感謝申し上げるとともに、今回できた縁、絆を大事にし、日常的に友好を深めていくことが、参院選勝利への大きな力となることを確信してやみません。
全国の県代表、幹事長の皆さん!
参院選勝利のカギは、団結と行動であります。どこまでも公明党らしく、全議員が団結し、心を一つにして戦っていこうではありませんか! 皆さまの獅子奮迅の戦いをお願い申し上げますとともに、私自身、その先頭に立って死に物狂いで戦い抜くことをお誓い申し上げ、本日のあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。
(つづきです)
今後、自民と民主しか選択肢がない、という状況で推移すると、「両方ともダメだ」というムードが高まったとき、仮に魅力的な人柄と宣伝戦略を持つ極端な思想集団が現れると簡単に政治の支配的地位を獲得してしまう事態さえ危惧されます。
そのような事態を防ぐためには、所属政党はどこであれ、「まともな感覚をもって国民の要望を実現しようとする」人材群が政界に確かに存在することを示していくしかないと思います。それ即ち、公明党の勢力を伸ばすことだ、というお考えかもしれませんが、もっと他党の人材や政界以外の諸団体とも多角的な協力を推進して、国民が納得する調査や論理がそのようなネットワークから生まれてくる、そしてよく見るとその中に有能な公明党の人がたくさん活動している、というような存在になってほしいな~と思っています。
今までは、党に対する攻撃には過敏に反応し、連携した相手の敵は攻撃するという、部外者にはずいぶん硬直的にも思える姿勢が目についたように思います。上記のような活動を模索する中で、そのような傾向が消えていけば、支持層もぐっと広がるのではないかと想像する次第です。
実際の政界や選挙現場でのパワーゲームを知らない状態で書いているので、非現実的な意見と受け止められるかもしれませんが、井手さんのブログを折に触れて拝見し、暖めてきた意見なので、今回まとめて書かせていただきました。
9月10日の読売新聞によると、山口新代表はラジオで、「連立でぼけてしまったことがあるかもしれない。公明党の持ち味である福祉、平和、教育、環境で妥協し、分かりにくくなった点は否めない」と語ったとされています。私の認識と似ています。特に、イラク戦争開戦時の態度には「愛想が尽きる」という印象でした。
ただ、環境については、斉藤環境大臣が経済界の圧力に抗して積極的なCO2削減策を推進しており、党内の識者・意見もこれをバックアップしているように感じます。また、(実行力の有無はさておき)鳩山代表もCO2削減には積極姿勢を見せました。自民vs.民主なんていうミクロであやふやな対立図式とは異次元の根本問題に、それこそ「ぶれない」姿勢で取り組む切り口をいくつ構築できるかが、ニュー公明党の生命線ではないでしょうか。
前回の選挙で小泉・自民へ、そして今回鳩山・民主へと態度を変えた人々(ずいぶん多いようです)は、今の自民党や民主党のどちらが良いかという尺度で考えたいのではないと思います。閉塞状況を打破して本当に日本の将来を拓く活動を推進してくれそうな勢力ならどこだって投票するぞ、という投票行動であるように思います。
このような層は、既存の固定的な支援組織を軸にした政党からは、つかみどころがなく支援を求めにくいのかもしれませんが、個人が既存の組織に縛られる(守ってもらえる)図式がいろんなところで崩壊している現在、この傾向はもっと拡大すると予想します。(つづく)