総務企画委員会で所管業務について勉強会
2月5日、県議会総務企画委員会が開かれ、所管業務についての説明が行われました。総務企画委員会は、厳しい県財政の中にあって、行財政改革の本丸でもあり、将来に向けて茨城県のパイロット役でもある総務部と企画部を所管する委員会です。この説明の中で、来年度(2010年)4月から始まる“高等学校授業料無料化”の準備状況について気になりましたので、終了後担当部より詳細なヒアリングを行いました。
鳩山政権が進める高校授業料の無料化で、総務企画委員会で所管するのは、私立高校の授業料に関する分野です。
平成22年度文部科学省予算案のうち、最大の争点となっているのが「公立高校の授業料無償化と私立高校等に対する就学支援金の創設」です。今回の予算案では、公立高校の授業料は徴収しないとしています。国が、公立高校(茨城県でいえば県立学校)の設置者に、生徒一人約12万円の授業料相当分を交付することによって、実質的に授業料をタダにします。
一方、私立高校については、生徒一人当たり年額11万8800円を支給します。公立高校と同じように、学校設置者が代理受領し、その分を授業料から減額することになります。年間36万円の授業料を納める学校であれば、その金額から11万8800円を指しい引いた24万1200円を学校設置者に保護者が納付することになります。
また年収が250万円未満程度の世帯に関しては、2倍の23万7600円を、年収250万円~350万円未満程度の世帯に関しては1.5倍の17万7220円を支給し、所得が低い家庭を支援することとしています。
こうした私立高校の就学支援制度にはいくつかの問題点が浮かび上がっています。
その第1は、概算要求では倍額支給されるのは500万円以下の世帯でしたが、予算不足から割増を受けられる世帯が大幅に減少してしまったことです。私立高校生で標準額の倍額を支給されるのは全体の6%、1.5倍を支給されるのは全体の7%程度しかありません(正確にはこの6%、7%という統計的な数値も公立学校を含む高校生全体の数値であり、比較的所得が多いと推察される私立高校の生徒に関していえば、さらに数値は下がると思われます)。公立学校との負担格差を是正するには、あまりに非力な政策といえます。
第2に、事務的な手続きとして生徒の家計の所得をいかに把握するかという大きな課題もあります。政府は、私立学校の生徒の家族に所得証明書(納税証明書)の添付した申請書の提出を求めることにしていますが、4月分5月分を6月に支給するためには、新学期早々に証明書の提出を求めなくてはいけません。この時期、所得を証明する種類は前々年(平成20年)のものしか出ません。従って、6月分以降の支給に関しては、6月以降にもう一度、前年(平成21年)の証明書を再提出しさせることにしています。大変な手間がかかることになります。
第3に、就学支援金は学校に代理受領されるため、便乗した学費の値上げの懸念があります。現に、茨城県内でも4月から年間12000円授業料を値上げした学校が出ています。全くの私見になりますが、この支援事業が定着するまでの3年間程度は、授業料引き上げを自重するなど学校側に強く要請することが必要と思われます。
第4点は、通信制の学校の問題です。通信制高校の場合、広域的な多くの生徒が就学しています。しかし、学籍はあるものの就学の実体がない生徒も、その割合が多いといわれており、代理受領制度の中で適正な制度運用が行われるようにしっかりとした指導監督が必要になります。
こうした問題点は、ほとんどマスコミでも報道されておらず、県民にもしっかりとした情報提供が望まれます。
参考:茨城県内の市立高等学校ガイド