井手よしひろ県議ら県議会総務企画委員会のメンバーは、兵庫県の大型放射光施設「スプリング8」を訪問しました。井手県議の同施設の視察は、2001年7月に続いて2回目となります。
スプリング8は、兵庫県の播磨科学公園都市にある世界最高性能の放射光を生み出すことができる大型放射光施設です。放射光とは、電子を光とほぼ等しい速度まで加速し、磁石によって進行方向を曲げた時に発生する、細く強力な電磁波のこと。スプリング8では、この放射光を用いてナノテクノロジー、バイオテクノロジーや産業利用まで幅広い研究が行われています。
今年度中には、X線自由電子レーザー(XFEL)施設の稼働も予定され、スプリング8は、名実ともに放射光・X線自由レーザーの世界最先端の研究施設になります。
一行は、スプリング8を運営している財団法人高輝度光科学研究センターの白川理事長ら幹部役員から、説明を聴取。特に、産業利用など具体的な成果について詳しく説明を受けました。
その後の質疑応答の中で、井手よしひろ県議は茨城県東海村で稼働中の大強度陽子加速器「 J-PARC」との比較しての同施設の特徴や今後の研究の棲み分けなどについて、質問しました。
このスプリング8は、昨年秋に行われた民主党政権下の事業仕分けにより「3分の1から2分の1程度縮減」との理不尽な評決結果が出されました。
この事業仕分けの結果に対しては、国を代表する科学者・専門家より、厳しい批判が寄せられました。しかし、実際の2010年度予算は、108億円の概算要求に対し、1割近く削減され、99億円しか認められませんでした。
事業仕分けの評価では、
●現状のようにランニングコストとして国費を年86億投じ続けることに対するアウトプット(メリット)が説明されていない。高額高コストのインフラなら波及効果を含めたメリットを説明しきる努力が必要。年86億に見合うメリットは何か、説明が充分でなければ、国費を認めがたい。
●将来的にも、料金収入だけでは運営不可能で、国費の投入が避けられない以上、必要最低限の国費投入が原則である。ビームラインの増設は費用対効果が見込めない以上認められない。利用効率の低いラインのスクラップアンドビルドで自己努力すること。
などとのコメントが寄せられました。
民間での採算性が見込められない、最先端の技術開発だからこそ、国費を投入するわけです。日本の未来への投資に、いかに民主党の事業仕分けがいい加減な結論を出したか、腹立たしくなってきた視察でした。