今年の猛暑の影響は、私たちの生活に様々な影響を与えました。
今年12月の県議選の重点政策にも、県民の皆さんから“猛暑対策”についてのご意見が複数寄せられました。
その中でも、多かったご意見が「学校校舎へのエアコン・クーラーの設置」ということでした。文部科学省の調べでは、小中学校の普通教室の冷房化率は10.2%(2007年時点)と、非常に低いのが現実です。
9月14日付の東京新聞が、東京都の事例を詳しく紹介していました。
エアコン・クーラーを設置するという意見を否定するものではありません。しかし、東京新聞の記事でも指摘されている予算の問題、小学生の体調(汗腺が未発達な子どもへの冷房の悪影響)、女子生徒の冷え性の問題、何十台という室外機の熱風の対策や地球温暖化対策との問題をどのように考えるか、簡単には答えが出せません。
学校現場では、こうした現状のもと、様々な工夫が行われています。
例えば、“緑のカーテン”の普及。つる系に植物を窓の外に這わせようという試みです。また、「農業用遮光ネット」の活用を提案している方もいます。農業用遮光ネットをカーテンにすると、室内温度を5度以上下げる効果があるといわれています。
取れあえず扇風機だけでも設置してはとの意見もあります。
猛暑、猛暑といっても、茨城県内では、9月中旬にはその暑さも峠を越えました。授業時間確保の考え方から、夏休みが縮小される傾向があります。暑い時期の授業は、その気候にあった授業を設定することは出来ないでしょうか。また、夏休みは十分とって、土曜日の授業を増やすことは出来ないのでしょうか。こうしたソフト対策も重要です。
さて、茨城県における学校のエアコン・クーラーの設置状況はどのようになっているでしょうか。
小学校の普通教室への設置率は5.8%、中学校は10.0%で全国平均を下回っています。なお、河内町が100%設置となっていますが、成田空港への空路になっており騒音対策として国交省の予算でエアコンが設置されています。
県立高校では、ほとんどがリース方式で冷房装置を設置し、その維持費や電気代はPTA(保護者)負担となっているのが実態です。
結論として、小学校の猛暑対策はソフト対策をしっかりと研究・検討して、ハード対策を行うというのが筋道のようです。
公立小中校の冷房化 多摩地区で進まず
東京新聞(2010/9/14)
今夏の猛暑もようやく収まりつつあるが、東京23区で公立小中学校の普通教室の冷房化が来年にもほぼ100%行き渡るのに対し、多摩地区では伸び悩んでいる。30市町村のうち、半数近くの14市町村では、いまだ導入ゼロ。財政力の差が影響しているが、新学習指導要領の実施を控え、夏休みを短縮して授業時間を確保しようとする動きに対しても、足かせになりかねない。
東京の市町村部(島しょ部も含む)で、公立小中学校の冷房化率は17.6%(2009年、都教育委員会調べ)。全国平均の10.2%(07年、文部科学省調べ)は上回っているが、本年度で導入完了の世田谷、来年までにほぼ完了する杉並以外は導入済みの23区との差は大きい。
小学校70校、中学校38校と最大規模の八王子市。普通教室に冷房を導入しているのは5校のみで、うち4校は米軍横田基地の騒音対策で窓を閉め切るため。「普通教室は約1500あり、一教室100万円かかれば15億円。今年は異常気象なので、暑さ対策を考えながら様子をみたい」(同市教委)と悩ましい様子。
全校で導入している5市町のうち、昭島、福生など4市町も基地対策で、国の補助金を充てた。その他、一部で導入している市では、基地対策のほかは校舎建て替えに伴うケースがほとんどで、「既存の建物は工事が難しく、電源の確保も課題になる」(三鷹市教委)という。<以下略>