2月28日、衆議院で平成26年度予算が自民公明の賛成多数で通過し、参議院に送られました。憲法の規定により、年度内成立が確実になりました。
そこでにわかにクローズアップされてきたのが「集団的自衛権」をめぐる憲法解釈の見直しの議論です。
安倍首相は、私的懇談会の「安全保障の法的基盤の構築に関する懇談会」の報告を受けて、公明党との与党協議を行い、閣議決定する方針を国会答弁で明らかにしています。2月25日には、公明党の山口那津男代表に対して、与党協議を申し入れしました。山口代表は話し合いのテーブルにつくこと自体は受け入れる方向性を示しました。
その直後、公明党の漆原良夫国対委員長が発したメールマガジンが大きな波紋を呼んでいます。漆原委員長はメルマガで、安倍首相が集団的自衛権の容認に向けた憲法解釈の変更を閣議決定する方針に対して、「国民の声を聴くという一番大切な部分が欠落しており、到底賛成できない」と厳しく批判しました。
私達公明党は「平和の党」を標榜し、集団的自衛権の行使は容認できないという立場です。しかし、連立を組む党の幹部がはっきりと自説を文字にしたことははじめてです。漆原委員長は、「ある日突然総理から『閣議決定で憲法解釈を変えました。日本も今日から集団的自衛権を行使できる国に変わりました』などと発表されても国民の皆さんは、到底納得されないと思います」と述べています。
さらに「集団的自衛権の行使容認の可否は国や国民にとって最も大切な事柄。たった19人の閣僚だけで決定してしまうのは、いかにも乱暴に過ぎる」と批判しました。
そのうえで、「『なぜ変更する必要があるか』『変更した結果、何が、どのように変わるのか』など、国会で十分議論をして国民的合意を得る必要があると思います」と主張しています。
安倍首相が今なぜ集団的自衛権の見直しを急ごとするか、その理由は全く理解できません。
現に安全保障上に差し迫った必要性がないにもかかわらず、その見直しを強行すれば、かえって外交上は大きなマイナスになることも考えられます。
2、3カ月の短時間の議論で、このような重大な問題に結論を出すことは避けるべきです。まずは、国会での議論、特に与野党を含めた特別委員会などを設置した上での徹底した議論を行うことが必要です。
安倍首相が閣議決定を急ぐならば、公明党は閣外に去るべし
一部の公明党員や一般の方から、公明党は連立の維持を優先させ、安倍首相の集団的自衛権の見直しを容認するのではないかとのご質問を受ける機会が多くなりました。
県本部役員という立場を離れて、一県議会議員として発言させて頂けば、「集団的自衛権が行使できないという憲法解釈は、憲法9条と一体のものであり、その見直しは憲法改正と同等の重みを持つ」と考えています。一内閣の一首相の判断、閣議決定で、その変更ができるとは思いません。
万が一、仮に安倍首相が連立政権で、集団的自衛権容認を決めるのであれば、公明党は閣僚を引き上げるべきです。山口代表を中心とする、党幹部がこうした事態に至らぬよう、安倍首相と胸襟を開い対論を積み重ねることを期待します。
衆院予算員会で安倍首相「集団的自衛権、閣議決定前も議論」認める
28日の衆院予算委員会で、安倍首相は、集団的自衛権の行使容認を巡る議論について、「政府の有識者懇談会の結論を受けて、憲法解釈の変更が必要であるとすれば、どのような解釈を変更するのか、政府としてどういう見解を持つのか、内閣法制局を中心に議論を詰めて、当然、与党との議論もする」と述べました。
そのうえで、安倍首相は、憲法解釈を見直す場合は、閣議決定するとしていることについて、「国会が、『閣議決定の前の段階での政府の見解を問いたい』となれば、答弁する義務がある。閣議決定しなければ、政府の統一的な意思として示すことはできないが、『閣議決定の前に政府の検討状況を一切、お示ししない』と言ったことは1回もない」と述べました。
漆原良夫国対委員長のメールマガジン(うるまが)Vol20より
集団的自衛権は国民的合意を
こんにちは、公明党の漆原です。
大変な大雪です。被災された方々には、心よりお見舞いを申し上げます。また、農業をはじめ大きな被害が出ました。国としても全力で支援をしてまいります。どうか、頑張って頂きたいと思います。
先日安倍総理は、集団的自衛権の行使容認に関する憲法解釈の変更の手順について、①安保法制懇(総理の私的諮問機関)の結論を得て、②自民、公明両党の検討を経たのちに、③内閣で閣議決定をする、と述べられました。
しかし、総理のこの考えは、「国民の声を聴く」という一番大切な部分が欠落しており、私は、到底賛成できません。日本の歴代総理は、戦後50年間にわたって、「憲法9条の解釈上、日本は集団的自衛権を行使できない」と国民に説明してきたのです。こんな大事なことを国民に何にも説明もしないで、ある日突然総理から「閣議決定で憲法解釈を変えました。日本も今日から集団的自衛権を行使できる国に変わりました」などと発表されても国民の皆さんは、到底納得されないと思います。
集団的自衛権の行使容認の可否は、日本国や国民にとって最も大切な事柄です。このような重大な事柄を、たった19人の閣僚だけで決定してしまうのは、いかにも乱暴にすぎます。「なぜ変更する必要があるか」「変更した結果、何が、どのように変わるのか」など、国会で十分議論をして国民的合意を得る必要があると思います。
まだまだ寒い日が続きます。どうか健康第一でお過ごしくださいますようお祈りいたします。